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前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻が巨大ゴーレムを文字通り粉砕していた頃、フーケは宝物庫の中で捜し物をしていた。 『破壊の本』、それが彼女の狙いであった。 幾多の宝物を触りもせず、ただひたすら目当てとなる本を捜した。と、一番奥に、どう考えても他の本より立派に置かれている本があった。 フーケはその下にかけられた鉄製のプレートを見つめた。 『破壊の本。持ち出し不可』と書かれている。フーケはここでようやく笑みを浮かべた。 フーケは、何の躊躇いもなくそれを手に取ると、急いでゴーレムの元へと行こうとしたのだが…… 彼女にとって、予想外の事態に見舞われた。 ゴーレムが土へと還り、メイジ達が何やら喜んでいる。 (まさか……私のゴーレムが負けたの?) いや、ありえないとフーケは考えを一瞬否定した。しかし、否定した所で今の状況は変わらない。 向こうもこちらの存在には気付いているはず。ならば向こうとの衝突は必須である。 子供でもわかる法則、故にフーケは『破壊の本』のページを開いた。 彼らを倒す為に―― シルフィードから降りて来たキュルケは、真っ先に当麻へと抱き着いた。 「トウマ! すごいわ! やっぱりダーリンね」 ちょ、お姉さん、その胸がわたくしに当たっていまして……と、いいたげな表情で喜んでいる当麻をルイズは、引き離す。 「何するのよ!」 「敵、まだいる」 ルイズの代わりにタバサが答えて、全員は穴が開いた宝物庫へと視線をやる。 と、その瞬間だった。 轟ッ! と風のうねりと共に、何か得体のしれない何かが迫り来たのを彼らは視界に捉えた。 「ッ! 避けろ!」 当麻は右手を突き出すよりも先に、ルイズを押し倒した。当麻の位置では、幻想殺しを発動する前にキュルケとタバサが先に当たってしまうからである。 「え? え?」と、状況がわからないルイズと違って、タバサとキュルケは判断が早かった。 当麻が叫ぶ前から動いていたのだ。実質三人は、同時に三方向へと距離を離れようと飛んだ。 が、それだけでは終わらない。 瞬ッ、とそれが当たり前のように三つの何かへと別れる。いや、もう何かというたとえはよくない。それは風の形で出来た槍であった。まるで自動追尾機能でも搭載しているかのように、勢いが止まる事なく襲い掛かってくる。 ドン!! と、当麻の右手が、向かい来る槍を打ち消す。今まで電撃の槍を再三に渡って打ち消したという慣れのおかげである。 が、それは一本だけ。 残りの二本は自分達が離れたが故、届かない。 再び彼女らは、ギリギリの地点から足に力を入れて、跳躍する。 ザシュ! と、ズドン! という音を、当麻は左右から聞こえた。 一つは肉が切り裂かれた水っぽい音――槍がキュルケの肩を掠めた。 もう一つはタバサが小さい体のおかげが、上手く当たらずに済んだ。 「キュルケ!」 ルイズが叫び、三人は駆け寄る。当麻とタバサは視線を宝物庫から背けない。一人は魔法を唱え、一人は拳を握る。 「はっ、ルイズに心配される程じゃないわよ!」 キュルケは自分のマントをビリッ、と破り、手際よくそれを巻いていく。 と、 「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」 突如歓喜に満ちた笑い声が場の空気を震わす。 フーケは本を開きながら、とんっ、と床を蹴り、地面に飛び降りる。 地面にぶつかる瞬間、『レビテーション』を唱え、勢いを殺し、羽毛のように着地する。 黒いローブを身に纏ったが、肝心の部分であろうフードだけは被っていない。 「ミス・ロンクビル!?」 その姿は誰もが知っていた。この学園の長、オールド・オスマンの秘書をしているミス・ロングビルであった。 その存在に驚く前に、タバサは呪文を発動した。巨大な竜巻が舞い上がり、フーケに直撃するその瞬間、 向こうが持つ本が光り、炎の竜巻が主を守る為に立ち塞がり相殺する。 「素晴らしいわね、数々の攻撃魔法に自動で敵の魔法を迎撃する魔法。おまけに呪文を唱える必要はないのよ」 ほら、と言わんばかりに本を差し出す。瞬間、再び光り、魔術が発動する。 今度は炎の矢。早さを極限なまでに特化しており、瞬き一つで当麻達ヘとたどり着く。 バシン! とそれを当麻は受け止めた。 誰一人傷を負わす事なく消え去る。 しかし、それは偶然の産物。なんとなく正面から来るであると踏み、発動する前から当麻は手を前に出しただけだった。 (クソッ、どんな術が来るかわからねえ!) 当麻は舌打ちをした。もし違う方向から襲い掛かる術式があったらそれだけで終わる。 その前に何か打つ手を考えなければならない。 「あら? 魔法を掻き消した……?」 が、幸いな事に、フーケが当麻の幻想殺しに疑問を持ち、ページを飛ばし続ける。 チャンスだ、と思った当麻はその間にも作戦会議を行う。 「とりあえず、だ。分散しちゃマズイ。固まってやり過ごすしかないな」 「ねぇ、ダーリンって一体何者なの……?」 キュルケの質問は尤もだった。 ゴーレムを一撃で倒し、全ての魔法を打ち消している。ただの平民なわけがないのである。 「右手」 タバサが当麻の右手を指す。数回の交戦を見ただけでよくわかったな、と当麻は素直に関心した。 「作戦会議かしら? でも、お姉さんは待ってあげない。その前にこれを喰らってみてはいかが?」 気付くと、本の前に二つの魔法陣が展開されていた。直径二メートル強の巨大なそれが重なっている。そこの接点から真っ黒な雷のような物が飛び散る。 そう、そこだけが何か別の空間、異次元へと繋がるような感覚を四人は覚える。 そんな亀裂が見えた。フーケへと近づく輩は永遠のさ迷いを与える絶対防壁であるかのように。 めき……、と亀裂の内側が膨らむ。何かの心音のように一定の感覚で膨らんでいく。 「あ……れ……?」 当麻は知っている。あれを見たのは初めてではない。恐らく記憶を失っている時間の中の体験なのだろう。 しかし、おかしい。その時の記憶は何もない。何もないはずなのに…… なぜかぼんやりとあの白い少女が浮かんだ。 その間にもどんどん亀裂が広がっていき、『何か』が近づいてくる。後ろは見れない。見てしまったら間違いなく死んでしまうと、感じる。 当麻は動けない。震えている、怖いぐらい震えている。恐らく後ろの三人も未知なる恐怖に震えているに違いない。 でも何故だろう、当麻はこの時、同じ体験をしたその時、喜んでいた気がする。 そう、あの白い少女を救えるのではないかと思って 同時、ベギリ――――と、亀裂が一気に広がり、開いた。 その穴から何かが覗き込んだと思えた瞬間、 ゴッ!! と。亀裂の奥から光の柱が襲い掛かって来た。 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主
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前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「何で月が二つあるのですかー!?」 頭を両手で抱え、演技ではないかと思えるぐらいの驚きを放つ。 「当たり前じゃない。というか何でそこで驚くのよ?」 月が二つある事になんら疑問を沸かないルイズに、いやいやいやいやありえないですからー、と言葉に合わせるかのように片手を左右に振る。 「いや、だって月は一つしかないでしょ? それともあれですか、月がなんらかの手違いで分身しちゃいましたテヘッ、とか言っちゃうんですかあんたは!?」 「知らないわよそんなの……そんな事より貴族に対してそんな口の聞き方していいと思ってるの?」 ルイズがやや怒りを篭った口調を上条当麻は無視し、一つの確信を得た。ここは今まで暮らしてきた世界とはわけが違うのを。 あの後、歩いて城もとい学校に着いた当麻は、一緒にいたルイズに状況把握の為色々聞いた。 ここは何処なのか? あんたらは何処の魔術団体なのか? てかさっきは何の術式だったのか? それはもう沢山聞き、気付けば夜に変わっていた。 その間に、なんとなくここが別世界だと感づいたのだが、ありえない! と何度も当麻は自分に言い聞かせて来た。 そしてルイズは疲れに疲れて、今の当麻の変わりやすいテンションを半ば流すようにしないと身が持たない。一方の当麻は、必死に普段使わない頭を回転し始める。 (くそっ、ええい、まさかこういう不幸フラグが立つなんて!?) 不幸その一、異世界へと飛ばされた事。 不幸その二、自分が何やら『使い魔』とされた事。 良い子の皆はその場の幸福に騙されないように気をつけるんだぞ! いや、ホントに気をつけるべきだよ……、と当麻は体験した今素直にそう思えた。 (しかし……) 当麻はちらっと右手を見る。 幻想殺し、それが異能の力であるならば、超能力であろうが魔術であろうが神様の奇跡であろうが、触りさえすれば打ち消す力。 今まで、『御使堕し』といった神レベルの術式は、当麻の知らない間に右手が打ち消してくれた。では今回の術式に関しては何故発動しなかったのだろうか? 考えられる理由としては、『御使堕し』といった術式は、対象者は全員とされている。それと違ってルイズが行ったのは当麻だけへの術式。 言うならば当麻だけを狙った魔術、故に知らず内に右手が勝手に打ち消す事はない。そして、あろう事か当麻は右手であの契約の証の術式を触らなかった。 これならば筋が通っているであろう。術式を形成したのはルイズ自身、そして当麻は右手をずっと地面につけていたのだ。 というわけで見事ルイズの使い魔にへと変わったのでした。パチパチパチ、 (じゃねぇよ! うぉぉぉぉ、神様よ! 俺が何か悪い事をしましたか!?) 『いやカミヤン自分で神様の力打ち消しとるし』 『ホント、不幸の一言で締め括るにはもったいないぐらいだにゃー』 本日二回目の登場の青髪ピアスと土御門をほって置き、受験に失敗した三浪君レベルに落ち込むのであった。 (はぁ……なんだってこんな平民を召喚しちゃったのかなぁ……) 一方のルイズはルイズで、今更ながらも自分の使い魔に不満をもった。せっかく何回も挑戦して成功したのに、その相手がただの平民だなんてショックを受けるには大きすぎる。 人前では感情を隠せるが、こういった一人きりの時はそれが出来ない。 熱いものが目から込み上がってくる。それが流れ落ちる前に裾でササッと拭き取る。 (わかってる……、こんな所でへこたれるわけにはいかないわ) 決まった事項はもう変えられない。ならばこれからを見据えればいいだけ。ルイズは一人で決心する。決して使い魔に頼るようにしない立派なメイジになろうと。 と、気付く。自分の使い魔が極大な負のオーラを発している事を。 何やら体から出てきているように見えるのが余計に怖い。ルイズはとりあえずこのままでは自分も圧し負けてしまいそうなので、声をかける。 「とりあえず私の使い魔として恥をかかないようにしてよね」 が、決して慰めの言葉は与えない。当麻を人間として扱っていないからだ。 その時、当麻の頭にいい閃きが舞い降りた。とりあえず元の世界に戻る方法は後にして、まずは使い魔についてなんとかしよう。 とりあえず契約の証であろうこの左手にあるルーンを右手で触ればいいのでは? そうすれば幻想殺しの力で消え去って使い魔という役職から解放される! ルイズから使い魔としての仕事――掃除、洗濯、その他雑用をヤレといわれた当麻にとってこれほど幸福な事はない。 「はっはっはっ、この上条当麻まだ屈したわけじゃないですよ! こちらはあんたとの関係を断ち切る切り札があるのさ、あるんだ、あるんです三段活用!」 当麻の急激なテンションの変化とは逆に、ルイズは絶えず同じ状態で小さく首を傾げた後、 「別にしてくれるならいいけど、そしたらあんた誰に養って貰うの?」 「……………………………………………………はい?」 「言っておくけど、ただの平民を貴族が養うわけないわよ」 「…………………………………………………………」 「でもまぁ私としても使い魔を変えたい思ってるから、是非やってくれないかな?」 「ルイズ様、私が悪うございました。上条当麻は是非ともここであなたの使い魔として過ごしたいとお思いです」 良い子の皆はその場の幸福に騙されないように気をつけるんだぞ! 当麻は自分のモットーにしようか真剣に悩む事にした。 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主
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どれにもあてはまらないまじゅつ どれにもあてはまらない魔術 【分類】 どれにもあてはまらない魔術 無色 能力 虹色 魔術 【解説】 魔術は、マナ→式→系統→発動、と言ったプロセスを取るのが一般的ではあるが、 どれにも当てはまらない魔術は、系統を省略し、マナそのものを使用して効果発動する事が出来る魔術のことである。 神々の恩恵の影響を受けないため、発動の難易度が上がる。 効果は控えめだが、汎用性が高いのが特徴である。 魔弾 多重起動魔術 君が泣くまで殴るのをやめない 108式波動球 誓剣 影縫い 太陽レンズ あんたがたどこさ かごめかごめ はないちもんめ この子の七つのお祝いに 多層式結界魔方陣 口寄せ 色の無い美術展 捕縛球ボーラ・ポーラ トーテムの選択 今まで食べたパンの枚数 AUM 積み木の城の変形命令 ナース・コール 往復書簡 痒いところに手が届くスキル 選択的記憶消去 トラップマスターの挑戦状・壱 完成した多層式結界魔方陣 ゆびきりげんまん 千里眼の断片 邪龍の囀り 魔術と人間生活 フォーリン・ラヴ ノックしてもしもし だるまさんがころんだ 七代祟り すがたみ 罪と罰 カボチャのチャチャチャ ブレス ハレルヤ 蛇王挨拶告るう波 魔王バリヤー
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前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「いてててて……って何処ですかここはー!?」 上条当麻は不幸だった。 とある平日の学校帰り、一人だけ小萌先生の補習を受けた結果、下校時間が遅れ、早くインデックスの夕飯を作らなければゲージ3消費の超必殺技を受けてしまうー、と思いながら駆けていたはず。 はずだった。 ヤバイヤバイ、と早足から全速力へと変わった彼の視界には、召喚の鏡など見えずに中へと華麗に突っ込んだ。 そして結果がこれである。明らかに自分が暮らしてた学園都市とは違う場所。一面に広がる草原。遠くには資料で見た中世ヨーロッパ辺りを思い出される城が建っている。 と、気付く。自分の周りに見たこともない制服を着ている人達を。 「あんた誰よ」 当麻の事を珍しい生き物だと思っているのか、ジトジトと見てくる。 その中で一番当麻に近いピンク色長髪の子が声をかけて来た。 「いや……アノそもそもなんで私がこんな所にいるのでしょーか?」 確かに、我が家に帰ろうとしたらいつの間にか知らない場所へと飛ばされたのだ。当麻の言い分は尤もであったのだが…… 彼らにとってはそんな当麻の事情はどうでもよく、むしろ別の事で笑い出した。 「ゼロのルイズが平民を召喚したぞー!」 「さすがはルイズ、俺達には出来ない事をやってくれるぜ!」 「なっ、うるさい!」 ピンク色の髪の子が頬をやや紅潮に染め、野次を飛ばす仲間であろう人達に怒鳴る。 一方の当麻は当麻で、首を傾げて?マークを頭に浮かべている。 あのー人の話を聞いてくれないでしょうかと、声をかけたいのだが、いかんせん勇気がない為ただ黙ってるしか他ない。 すると、この場で唯一大人であろう中年の男性が前へ出てくる。その男性の恰好を見て当麻はここがどのような場所か理解できた。 大きな木の杖に黒のローブ。間違いない、魔術師だ。 しかし、当麻が知っている魔術団体、ローマ正教、イギリス清教、ロシア成教といった様子には見えない。今まで味わった経験とは勝手が違いすぎる。 それにこの場所は言うなら魔術の学校だと当麻は感じる。そのような場所には出くわした事がないので、もう少し様子を見る事にした。 「あなたが最後なのです。早く契約の証を行いなさい」 「ミスタ・コルベール! もう一度やらしてください!」 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「でも平民ではないですか!」 「それでも、だ。召喚された者がいかなる者であろうと、呼び出された以上君の『使い魔』にならなければならない。さっ、早くしないと次の授業が始まります」 自然と当麻の耳に会話が流れ込んでくる。正直よくわからないのが本音だが、一つだけ言える事がある。 絶対不幸な事が起きる、と。 なんら確証もないが、これだけは断言できた。 早くしろーと野次を飛ばしてくる人を、ルイズと呼ばれた少女はキッと睨み、その後ため息をつきながらも当麻の方を見る。 「あんた、感謝してよね。こんな事平民は絶対に受けないんだから」 「って一体何をする気なんですかー!?」 この時当麻は後悔した。様子など見ずに事情を聞くべきであったと。いや、まさかこちらの話を聞く気がないとは予想外である。 しかし、もう遅い。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 小さな杖を当麻の目の前で振りながら呪文らしき言葉を紡ぐ。 「って説明無しですか!?」 未知なる行為にやや恐怖しながらも、普段当麻が戦って来た魔術師とは違うので、抵抗をしようとは考えなかった。というか考える余裕がなかった。 と、杖を当麻の額に置き、徐々に顔を近づけてくる。 ルイズフラグを立てた覚えはないぞーと叫ぼうとしたが、 「ああもぅ! じっとしてなさい」 と、怒りが篭った声の前に当麻は平伏す。 分かる。この漫画ちっくな展開はあれしかない。 当麻はルイズが何をしようとするのか直感で感じる。が、それは男にとって最高な行為、不幸の人生を生き抜いた当麻にとっては喉から出る程である。 そして予想通り、二人は唇と唇を交わした。 『だー――、カミヤンがキスをしよったで!?』 『にゃー! 他の人達のフラグを捨ててまでこの子を選ぶのかにゃー!?』 なんか聞こえてるが、当麻はルイズとのキスを喜ぶ。恥ずかしさうんぬんよりも純粋に『幸福』が奮い立たせたのだ。 だって考えて見よう。いきなり何処か知らない場所に飛ばされるという『不幸』の代わりに、女の子とキスをするという『幸福』が舞い降りたのだ。ちょっとはやられてみたいだろ健全な男なら、うん。 やがて何分経ったかわからないキスはルイズから離れる事によって終わりを告げた。顔を真っ赤にしながらも中年男性に伝える。 「終わりました。あっルーンが刻まれるから気をつけてね」 「ん? ルーンって確かステイ、アチチチチ」 ルと言い切る前に当麻の体が熱くなり痛みを伴った。 「くそっ、こういうオチがあるとはこの上条当麻、一生の不覚ってアチィィィイイイイ!?」 「あーもうすぐ終わるからちょっと我慢しなさいよ」 ルイズが呆れ気味に応える。確かに熱いのは一瞬で、体は普段の状態に戻った。 と、痛みから解放され地べたに座り込んだ当麻を、コルベールと呼ばれる男性が近寄ってくる。 なんなんですかー!? と焦る当麻を無視して左腕の甲を確かめる。 「ふむ、珍しいルーンだな。ちょっと調べてもいいかな?」 「あ……別に構いませんが」 「ありがと。わかり次第すぐに教えるからね。では皆教室に戻るぞ」 コルベールとルイズ以外の生徒たちは皆宙に浮いた。さすがの当麻もこれには動揺が隠せない。 が、生徒たちはそんな当麻に気にかけるまもなく、代わりに、 「ルイズ、お前も飛んでこいよ!」 「ゼロのルイズには無理無理」 「あなたみたいな人平民がお似合いよ!」 当麻でも理解出来るようにルイズの事を馬鹿にしながら去って行った。 残された二人、ルイズは当麻の方を向き、 「あんた、一体なんなの?」 「まぁそれ込みでゆっくり話せるっぽいな。とりあえず、歩いて行く?」 と、ルイズのこめかみに血管が浮かび上がった。 「う、うるさいっ! さっさと歩くわよ!」 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主
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クラスが魔術師・魔女のキャラクターは魔術を習得することが出来ます。 それに伴い、いくつか魔術専用の数値が存在しますので、それを解説していきます。 魔術師以外は特にこの項は興味がなければ読み飛ばしてしまって構いません。 魔力 キャラクター作成からの繰り返しになりますが、魔力について触れておきます。 魔術師は魔術という不可思議な力を使いますが、 その不可思議な力がどれくらいの強さなのかを決めておく必要があります。それが魔力です。 魔力が高いほど魔術の威力は高く、効果的と言っても差し支えないでしょう。 魔力の値は以下のように決定されます。 魔力=魔術師・魔女レベル+基礎魔力 基礎魔力は人間であるかぎり最初は0となります。 ただし、基礎魔力や魔力を上げる方法はいくつか存在します。 ●魔力を上げる方法 生命力の捧げる PC自身の肉体値を1永久に下降することで、基礎魔力値を2永久に上昇させることが出来ます。 ただし肉体値を0以下にすることはできません。 ●魔力を上げる方法 生贄を捧げる生贄を一定周期で捧げることによって魔力を得て、維持します。 生贄は何を捧げるかによって魔力の上昇値や維持期間が異なります。 GMは以下の表を参照に、表以外のものについては適切と思われる数値を設定してください。 いけにえの効果の継続について迷ったら、 小動物などは1 セッションが終わったら効果が切れるとしても良いでしょう。 いけにえ表 生贄 魔力上昇値 期間 儀式に必要な時間 動物 1 一週間 1時間 人類 2 一ヶ月 12時間 人類(処女) 3 一ヶ月 12時間 魔術師・魔女 3 一ヶ月 12時間 ●焦点具を使用する 魔術師や魔女は大概、自分用の焦点具(魔力集積補助具)を持っています。 この焦点具は基本的に持っているだけで魔力を上昇します。 どの程度魔力を上昇させるかは、使用している素材などによります。 +1の焦点具は魔術師のフィート≪焦点具作成≫ を習得していれば、自ら作り出すことが可能です。 魔術習得値 魔術習得値とは、様々な魔術を習得する為に必要な数値です。 魔術師達は魔術をそれぞれ個別に習得する研究を行っており、その研究成果が個別の魔術となります。 その研究力を表すのが魔術習得値でレベルごとに「知能×魔術師・魔女クラスレベル」の魔術習得値を得ます。 つまり1レベル、知能3なら3 の魔術習得値を、2 レベルに上昇すると「3×2」で6の魔術習得値を得ます。 魔術習得値は魔術を習得するのと引き換えに消費します。 各魔術の習得に必要な魔術習得値は必要魔術レベルと同値となります。 必要魔術レベルが1なら、必要な魔術習得値は1です。 必要魔術レベルが2なら、必要な魔術習得値は2とそのままです。 魔術スロット 魔術師は習得している魔術を己の魔術書に記録しますが、その魔術を全て即座に使えるわけではありません。 魔術師は1 日に使える魔術量には限界があります。 この使用限界は魔術スロットという概念で表され、 これは(知能+10)×魔術師・魔女クラスレベルという数値になります。 知能3、クラスレベル1なら魔術スロットは13、 知能3、クラスレベル2なら魔術スロットは26という風に変化します。 魔術にはそれぞれスロットコスト値というものが存在し、 1 日に使える魔術はスロットコスト値の合計が魔術スロット値以下でなければなりません。 魔術師は1 日の始まりに魔術スロット分、魔術を選択するのが最初の作業となります。 魔術の習得手順 魔術師は魔術を習得・使用できますが、最初から全ての魔術を自由自在に使えるわけではありません。 その実力に応じ使える魔術の高度さは異なりますし、魔術師によって習得している魔術の種類は異なります。 PCがどんな魔術を習得しているのかは、PCがどんな魔術を習得すると決めたかで変わります。 PCが魔術を習得する方法は基本的に2 種類あります。 1.レベルアップごとに魔術習得値を消費して習得する 前に魔術習得値は魔術の研究による魔術習得の為のリソースだと述べました。 魔術師・魔女はレベルアップごとに魔術習得値を得られますので、それを消費して魔術を習得してください。 魔術習得値は消費せず持ち越すことも可能ですが、 使用して魔術を習得できるのは、シナリオ終了後、開始前だけです。 各魔術には必要魔術レベルが存在していますので、 己の魔術師・魔女クラスレベル以下の必要魔術レベルの魔術を 必要魔術レベルと同値の魔術習得値を消費して習得することが可能です。 2.他者の魔術書から習得する 他の魔術師が持っている魔術書には、PCが習得していない魔術が存在している場合があります。 魔術師にとって魔術書は自らの力の源であり、基本的に肌身離さず持っているものですが、 例えば魔術師達が倒された場合など、他者へこの魔術書がわたる場合があります。 魔術師以外にはこの価値は理解できない(そもそも読めない)為、この魔術書が市場に出回ることは稀です。 また他の魔術師の手にわたってしまった場合、魔術師はその力を秘匿する為、 魔術書の内容を自らの魔術書に書き写した後、消滅させてしまうことがほとんどです。 魔術書に載っている、必要魔術レベルがクラスレベル以下の魔術は全て即座に習得できます。 必要魔術レベルが足りない場合、魔術書を書き写しておけば必要クラスレベルに達した時に習得できます。 魔術師・魔女は習得した魔術を己の魔術書に記しておきます。 魔術師は魔術書がないと、魔術を魔術スロットに入れることが出来ません。 つまり、魔術を使用することが出来なくなります。 魔術師は失われた己の魔術書を再構築することが可能です。 習得した魔術は魔術書だけではなく己の頭の中にもあるからです。 ただし作成にはまず100ゴールドの魔術書代、さらに魔術文字を刻むための光腑結晶代100ゴールド、 そしてその魔術書に魔術一つを記すごとに1 日の期間がかかります。 魔術師は事前に予備の魔術書を作成しておくことも可能ですが、 それは己の魔術の流出の可能性を高めているのだということをよく理解してください。 そういった性質から魔術師は己の魔術をいくつかの魔術書に分割して、どこかに隠していることもあります。 魔術の使用手順 ■魔術スロットへのセット 魔術は使用する前に己の脳内に呪文を刻み込む必要があります。 魔術の厄介なところはこの刻み込んだ魔術は使用すると脳内から失われてしまい、 再び刻み込む必要があるということです。 この魔術の厄介な性質を表すのが、前述した魔術スロットと、魔術のスロットコストの関係なのです。 そしてもう一つ重要なことは、この脳内への刻み込み(魔術スロットへのセット) を行うには魔術書が必須だということです。 魔術書は魔術スロットへのセットをスムーズに行う為に作り出されたツールなのです。 実際のルール的な処理としては、 朝目覚めた時に10 分ほどの時間をかけて魔術スロットに魔術をセットする作業を行います。 魔術は魔術スロット限界までセットすべきです。 何故ならこの時使用しなかった分のスロットには何も使用することは出来ないからです。 また魔術は同じものを複数セットすることも可能ですが、 できる限り別の魔術をセットしたほうが効果的です。(理由は後述) ただし、冒険者である限り、夜寝て朝起きてるとは限りません。 この場合魔術スロットへの再セットを行うには6 時間以上の連続的な睡眠を行う必要があります。 この後、再度魔術スロットへのセットを朝行う作業と同様に行えます。 6 時間の睡眠中多少目を覚ましても問題はありませんが、 戦闘などの緊張状態になるような事態があってはいけません。 この6 時間の睡眠が行われるまで、魔術は以前セットしたもののままで、魔術スロットの回復も行われません。 ■魔術の使用 魔術は魔術スロットにセットしているものを使用することが出来ます。 魔術使用時はまず魔法強度を決定します。魔法強度は以下の式で決定します。 魔法強度=魔力+その他の修正+2d その後、使用された魔術は、魔術スロットから消滅し、 再度次の日、魔術スロットのセットをするまで使用できません。 これに対し、もう一つの手段として魔術スロットの代替消費という方法があります。 これは、魔術スロットにセットされている魔術そのものを消費せずに、魔術を発動するというものです。 例えばスロットコスト(SC)2の{力術防護}を使用するために、 同じC2の{念錠}を消費することで{力術防護}を発動させるということです。 消費されたのは{念錠}の魔術なので魔術師はまだ{力術防護}を使用できます。 代替消費で変換して使用するためには、変換先の魔術が、スロットにセットされている必要があります。 次に図解で示してみましょう。 またこのスロットの代替消費は、複数の魔術を合わせて、コストをまかなうことも可能です。 同じ例で言えばSC2の{力術防護}を使用するために、 SC1の{念動}と{光源}を消費して{力術防護}を発動させることが可能です。 あるいは代替元よりも大きなSCの魔術(3とか4とか)を消費して {力術防護}(SC 2)を発動することも可能ですが、 この余った差分は無駄になることを覚悟しなければなりません。 組み合わせて余った場合も同様です。 何らかの形で魔術の消費が終わったら、魔術の発動が開始されます。 魔術には発動時間が存在する為、それらが経過した後に魔術は効果を発揮します。 これが2 アクションであれば使用術者の行動順にすぐに、4アクションなら次のR の術師の行動順に発動します。 この発動までの間がある場合、その間に邪魔された場合、魔術は失敗し、無駄に消費されます。 邪魔が入ったと判断されるのは負傷・疲労ダメージを受ける等の他、 使用を中断せざるを得ない状態異常(精神操作の影響下)や状況に追い込まれた場合です。 魔術を使用する際の必要要素 魔術を行使するためには、特定の必要要素というのはありません。 しかし、魔術師はその魔力を最大限に活かすために身体要素や音声要素を使用しています。 それらが不足する場合、魔力にペナルティが発生したり、使えなくなる場合があります。 呪文(魔術言語)の詠唱が行えない 魔力に-2のペナルティを受ける 目標を視認できない 対象が「自身」以外の魔術は発動できない 動作(身体要素)がとれない 魔力に-2のペナルティを受ける これらのペナルティによって魔力が0以下になった場合、魔術師は魔術を発動できなくなります。 また、魔力が必要魔術レベル以下になった魔術も使用できなくなります。
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2011年11月 日付 R-18 メディア 分類 タイトル 01日 - 小説 装?/- 魔王学校に俺だけ勇者!? 四時間めっ☆ 01日 - 小説 -/化 僕の妹は漢字が読める(2) 01日 ○ ゲーム 装/- 【PC】女装(オンナノコ)ならいいの? 04日 - 漫画+CD 装/- みなみけ(9) CD付き限定版 04日 - 漫画 装/- 紅 kure-nai(8) 04日 ○ ゲーム 装/化 【PC】ずっと! 女装で孕ませてっパッケージ版 07日 - 漫画 装?/- 〆切様におゆるしを(3) 09日 - 漫画 -/化? 女子攻兵(1) 09日 ○ ムック 装/- オトコノコ時代(2) 10日 - 漫画 装/- かわいくてごめんね 10日 - 小説 装/化 可愛くなんかないからねっ!(2) 10日 - 小説 -/化 攻撃魔術の使えない魔術師 <ウェステッド村編> 10日 ○ 漫画 装/- ハッピーノーリターン 10日 - CD 装/- ドラマCD 〆切様におゆるしを 11日 - 漫画 -/化 7時間目の音符 11日 - 書籍 -/化 まんがと図解でわかる ドラッカー 使えるマネジメント論 12日 ○ ゲーム 装/- 【PC】妹のペニバンで「ひぎィッ!」ってされちゃう男の娘パッケージ版 14日 - 漫画 装/- オトコの娘コミックアンソロジー ~小悪魔編~ 15日 - 小説 装/- おと×まほ(14) 15日 ○ オナホ 装/- おとこの娘? 17日 - 漫画 装/- AKB49~恋愛禁止条例~(5) 17日 - 漫画 -/化 維新のKAGURA(5) 17日 ○ 漫画 装/- 痙攣アクメ痴獄 18日 - 漫画 装/- アラタカンガタリ~革神語~(13) 18日 - 漫画 装/- ないしょの乙女リボルバー 19日 - 漫画 装/化 性なる嘘つき おりもとみまなチェンジH短編集 21日 △ 小説 装/化 目覚めると従姉妹を護る美少女剣士になっていた(3) 22日 - 漫画 装/- えむえむっ!(6) 22日 - 漫画 装/- 朝まで授業chu!(2) 24日 ○ 漫画 装/- 寝取られアンソロジーコミックス 25日 - 漫画 装/- アリス微熱38℃(3) 25日 - 漫画 装/- 私立白薔薇学園の秘密 25日 - 漫画 装/- ピンクレースな彼 25日 - 漫画 -/化 恋煩いフリークス 25日 ○ 漫画 -/化 布のむこうがわ 25日 - 小説 装/- 精霊使いの剣舞(5) 25日 - ゲーム 装/- 【】d2b vs DEARDROPS Cross the futureパッケージ版 25日 ○ ゲーム 装/- 【PC】現在もいつかもふぁるなルナ 25日 ○ ゲーム 装/- 【PC】輝光翼戦記 銀の刻のコロナ/初回限定版 25日 ○ ゲーム 装/- 【PC】おとラブ~女装美少年限定!~ダウンロード版 25日 ○ ゲーム 装/- 【PC】晴れときどきお天気雨 25日 ○ ゲーム 装/- 【PC】男の娘レイプ ~調教ザーメンでアヘアヘBefore⇒After~ダウンロード版 25日 ○ ゲーム -/化 【PC】夢みる月のルナルティア 25日 ○ DVD -/化 【アニメ】TSF物語 Trans.1 26日 - 漫画 装/- 妄想少年観測少女(2) 26日 - 漫画 装/- 女装少年アンソロジーコミック みかん組 26日 - 漫画 装/- 真剣で私に恋しなさい! コミックアラカルト 26日 ○ 漫画 -/化 コミックアンリアルアンソロジー入れ替わり・憑依ファンタズムデジタル版(1) 26日 - ムック 装/- オトコのコはメイド服がお好き!? illust stories 2011 28日 ○ 漫画 装/- よりどりEcstasy!! 29日 - 漫画 -/化 まおまりも(3) 29日 ○ 漫画 -/化 ぱられる!リキュアたん(2) 30日 - 小説 装/- 妹がゾンビなんですけど!(2) 30日 - 小説 装/- 処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー 愛情は最高のスパイス! 30日 - 小説 -/化 ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! Extradisc
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前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 そう、それはもう魔術と呼べる代物ではなかった。 科学で作り上げた、直径一メートルはあるであろうレーザー兵器に近い。今まで見たことがない純白の、輝かしい光が襲い掛かった瞬間、当麻は迷わず、いつもと変わらずに右手を前に突き出す。 突き出すしか彼には方法がないのだ。 じゅう、と熱した鉄板に肉を押し付けるような激突音。 しかし、痛みも熱も感じられない。幻想殺しが全てを防いでいるのだ。 それでも消し切れない。光の柱は消えるような面影が見えない。 (くっ……確か……これはっ……) じりじりと、足が後ろに下がっていく。防ごうと、全身の力を足にへと注ぐ。 もう数秒過ぎている。消しても消しても、消し去ることはない。 そう、当麻は覚えている。この魔術は幻想殺しで防げないのだ。 幻想殺しの処理能力が追い付かない程の質量を放った魔術。当麻の記憶通り、じりじりと痛みを感じて来た右手を、左手で掴む。 わかっている。この魔術は打ち消す事が出来ない。せいぜい時間稼ぎだ。 ならば……と当麻は叫んだ。 「頼む! 俺の力じゃこいつを防ぎ切れない! この間にもあいつを攻撃してくれ!」 当麻の声に、三人の意識はフーケへと降り注がれる。 再びタバサは風の魔法、キュルケは炎の魔法、遅れてルイズの失敗魔法が放たれた。 が、どれも直撃する前に本の迎撃術式が発動して防がれてしまう。 ルイズにいたってはフーケのちょっと隣の所で暴発した。 「ちょっとルイズ! ちゃんと狙いなさいよ!」 たまらずキュルケが怒鳴る。ルイズは唇を噛み締めた。 「狙ってるわよ! でも当たらないのよ!」 「当たらないのよ! じゃないわ! あなたの使い魔を見なさい!」 キュルケは当麻を指差した。いや、指さなくても既に視線は向いているのだが…… ただ、当麻の方をちゃんとよく見ていなかったのだ。 そして、その姿をはっきし見て、思わず「あ」とルイズの声が凍り付く。 『――いてててて……って何処ですかここはー!?』 出会いは最悪だった。自分が期待していたのよりも遥か下のランク外で。 『――俺も自分の主が馬鹿にされたのを黙って見ていられなかっただけさ』 だけど違う。過ごして来てその考えは変わった。 『――お前がまだ何かに対して絶対無理だと思ってるならな……まずはその幻想をぶち壊してやる!』 その少年は『強い』と純粋に思えた。 『――そういう事です。異能の力なら例えどんな事でも打ち消しちゃう右手なのです』 今でもその背中は大きい。自分達を何がなんでも守ろうとする意志がある。 が、実際はボロボロであった。自分達よりも、何倍も、ボロボロになっていた。 「わかってるの!? 私達は当てなきゃいけないのよ!」 キュルケの声は震えていた。悲しみと、恐怖が混ざり合わさった感情を表面に出しながら再び魔法を唱える。 だけど、ルイズには何が出来るのだろうか? 発動させる事も、当てる事もままならない。そんな自分が本当に必要なのだろうか? 使い魔がこんなにも頼れる存在なのに……と思っていると、 「ルイズ!」 その使い魔が主の名前を呼んだ。 (くそっ! どうすりゃいい!?) 俄然向こうの魔術は衰えず、むしろ勢いがましてゆく。 手首がグキリと嫌な音を発した。それでも、耐え続ける。耐え続けながら考える。 今が無防備であるフーケ本体にあてようにも、迎撃術式が自動で発動してしまう。 最強の盾と最強の矛を装備しているフーケ。何か、何か手は!? と必死に手掛かりを探していた当麻にある閃きが思い付いた。 最初に放った魔法。確かその時、ルイズの魔法だけ迎撃術式が発動しなかった。 今もタバサとキュルケが魔法を放っているが、ルイズはそれ一回きりだ。 実際発動しなかった理由は考えられる。事実当たらなかったとか、そもそも魔法ではないとか。 しかし、それでも百パーセント防がれてる魔法と、可能性がある未知なる魔法、比べるとしたらどちらに賭けるべきなのか言うまでもない。 ビキリと、一本の爪に亀裂が入り、血がどくどくと流れるが気にしない。 『――あんた誰よ』 出会いは最悪だった。ちなみにキスは最高であったが。 『――み、見直したなら早く片付けて頂戴! ちょっとペース落ちてるわよ!』 ゼロと呼ばれ続けて努力してきた主。それは誇るべき事。 『――何いってるの! 平民は絶対メイジに勝てないじゃない!』 自分の事を心配してくれたその少女を『強い』と思えた。 全てはその主に任せる。今回だけは、当麻はゼロである事に感謝を覚えた。 「ルイズ!」 一人の使い魔と、一人の主が交差する時、物語は始まる――! 「な、何よ!」 「お前の魔術ならあいつにダメージを与えられるかもしれない! やれるか!?」 当麻は振り向かない。今だけは、今だけは使い魔と主という関係を断ち切る。 当麻は求めている。『成功』の魔法ではなく、『失敗』の魔法を。 そしてそれはルイズにしか放てない。 「えぇ……。でも当たらないかもしれないし……」 「おぃおぃ勘弁してくれよ」 バキッ、と二本目の爪に亀裂が入ろうとも、当麻は気にせずにいつもの口調を繰り返す。 「お前は今までの努力を信じないのかよ!」 当麻は再び叫ぶ。何度でも、何度でも叫ぶ。 「大丈夫だ! お前なら出来る!」 当麻は諦めない。何が起ころうとも絶対に。 「俺を召喚したお前に! 当てられないわけないだろ!」 ルイズは気付く。この姿に憧れていたのだと。何があっても、絶対に諦めないその気持ちが。 二人の震えがいつの間にか消えている。もう、恐怖はない。 「とっくにプロローグは終わってんだ! 後は踏み込むだけだぜ! ルイズ様!」 三本目の爪に亀裂が入り、ピキッ、と骨からよろしくない音が聞こえた。 その瞬間、ルイズは再び魔法を詠唱した。一回きりのワンチャンス、祈るように杖を振った。 ボン! と小さな爆発がフーケの足元で起こった。 「なっ!?」 完全に防御の概念を捨てたフーケはバランスを崩して、放たれる方向はずらされる。その結果、光の柱は消え去った。 その隙を当麻は見逃さない。 ドン! と地面から一気に離れて跳躍する。 まだ後十何メートルは残っている。それでも、あの本を破壊するのは当麻にしか出来ない。 幻想殺しを持つ当麻にしか。 「くっ」 体勢を立て直し、再び本に魔力を込めた。 瞬ッ、と氷の風の刃が襲い掛かる。 「うぉぉぉぉおおおおッ!!」 痛みで感覚が麻痺している右手を盾にする。顔や体といった重要部分だけを打ち消したが、残りは切り刻まれる。 肩、ふともも、腕から血がブシャッ、と噴き出る。それでも、それでも止まる事を知らない。 「なっ……」 フーケの額にはいつの間にか汗が出ていた。 あれも防がれた。ならばどの魔法を放てば? 先程のでかいのはもう時間がない。 では何を優先すべき? 量? スピード? フーケはこの局面で、放つ魔法に悩んだ。全てを彼は打ち消してしまうのでは? という錯覚に陥ってしまったが故に。 その間にも二人の距離は縮まる。 (あいつがくれたチャンスを) 残り距離僅か、当麻は思いっきり文字通り、飛んだ。 (無駄に出来るかぁぁぁぁあああああッ!!) 自分の右手に全ての力を注ぎ込み、拳を握り締める。この一撃に全てを、己の生命すらも預ける。 この先にあるハッピーエンドを迎える為に、当麻は拳を振るう。 (ダメ……まにあわな――) 結局答えが出ずに何も出来ないフーケ。 その瞬間、ベキッ! と何かが破れるような音がして、ゴガン!! という壮絶な激突音が響いた。 フーケの体が数メートル吹っ飛び、さらに数メートル転がる。 シーン、とした静寂がしばらく続く。起き上がる様子はない。また、全ての力を使い切った当麻もまた倒れ込む。 この戦い、仲間と一つの武器を信じ続けた者が、勝利した。 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主
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魔力を用いて精霊と交信、具体的には詠唱と言う形で精霊との交信を為す事で、それぞれの属性の精霊から力を借り。 本来生物が持ち得ない力を発揮する魔導の中でも非常にスタンダードな術。 精霊との交信が必要と言う事から、存在する精霊に準じた属性の術に限られるが。 汎用性が非常に高い術の代表的な種類である。 必然的に、精霊と交信する純粋度が高いだけ力のロス無く発揮できるため。 精霊と交信する力である魔力が高い人間の方が高度な魔術を使える。 ただし、熟練度や技術、知識次第で幾らでもカバーできるため。 精霊と交信する能力さえあれば、先天的な資質はさほど能力に影響は無い。 当然、魔力が暴走などすれば精霊から自分が攻撃を受けるため。 己の魔力をコントロールできると言うのは魔術師として最低限必要な能力。 【属性】 [光] 光の精霊シュトラールの力を借りる魔術。癒しの魔法から解呪の魔法、暗闇を照らす魔法、攻撃魔法と幅広い。アンデッドに有効。 [闇] 闇の精霊オルクスの力を借りる魔術。暗闇の衝撃を発生する攻撃魔術がメインだが、光を打ち消す魔法や魔術を封印する術などもある。洗礼を受けた聖職者に有効。 [火] 火の精霊フランメの力を借りる魔術。火を使った攻撃魔術がメイン。更に活力を湧き上がらせる魔術などもある。 [水] 水の精霊ヴェレの力を借りる魔術。癒しと補助魔術がメイン。水流を使った攻撃魔術も幾つかある。毒や体の異常を治す魔法もある。 [風] 風の精霊ブラーゼンの力を借りる魔術。風を使った攻撃魔術がメイン。風を纏い浮遊したり、高速移動の補助をする魔術もある。 [地] 地の精霊レームの力を借りる魔術。大地を操り攻撃したり、岩を纏い防御を固める魔術がメイン。局地的な地震を起こす魔術もある。 [氷] 氷の精霊ラヴィーネの力を借りる魔術。氷を飛ばしたり、冷気で凍らせる魔術。精霊との交信度を高める魔術もある。 [木] 木の精霊ツヴァイクの力を借りる魔術。植物の成長を促進させたり、植物を操る魔術。植物の力を借り、様々な特殊効果を生み出すトリッキーな魔術。 [音] 音の精霊タクトの力を借りる魔術。音を使い聴覚を刺激し、精神へ影響を与える魔術がメイン。更に音を衝撃化してぶつける攻撃魔術もある。 [星] 星の精霊コスモスの力を借りる魔術。かなり高度な魔術であり、ハイウィザードクラスの能力が無ければ扱えない魔術。宇宙魔法や、重力魔法がある。 [無] 精霊の属性を使わずに放つ属性の無い魔術。魔力を使い精霊たちの住む別次元である精霊界に満ちたエネルギーを使って衝撃を与える初歩魔術。 【属性相互関係】 光←→闇 火→氷→木→土→音→風→水→火 星は全属性に強く全属性に弱い 魔力
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前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「えっと、二人は幼なじみなのか?」 当麻のその一言で、二人だけの世界から現実へと突き戻された。 ……悪い事したかなー、と当麻は自分の言った言葉に多少の罪悪感を感じた。 二人は楽しそうに昔話をしていた。一緒に悪巧みをしたり、遊んだり、笑いあったり、蚊帳の外である当麻も自然と口元が緩んだ。 当麻の知る限り、ルイズはあまり笑わない人であった。恐らく馬鹿にされ続けて、本当に心を許せる友達がいなかったんだろう。 だから、ルイズにもその許せる友達がいたのだとわかって、当麻は多少なりとも安心した。 って俺はあいつの親父か……ともちろん否定的な考えも浮かべる。 といっても、やはり会話に参加できないというのはなんか寂しい。結果、後先を考えずに思わず聞いてしまったのである。 すると、二人の視線が向けられる。アンリエッタに至っては、初めて当麻の事に気付いたのか、目を丸くしている。 「あら、ごめんなさい。もしかしてお邪魔だったかしら」 ルイズは首を傾げた。 「お邪魔? どうして?」 「彼恋人でしょ?」 アンリエッタの悪意もない素の発言に、ルイズは慌てて腕をぶんぶんに振って否定の言葉を述べる。 「ち、違います! ただの使い魔です!」 「いや待て。その言い方は果てしなく俺を侮辱してるぞ」 「なによ。事実じゃない」 「わーツンツンルイズ萌え~」 なによ! とさらに音量を上げていくルイズに、当麻は萌え~としか言わない。彼が出した結論は、ミコト=ルイズという方程式が成り立った為、彼女と同じような対処をする事になった。 そんな二人のやり取りをアンリエッタはただ見守っていた。 たまらずルイズが当麻を叩こうとするが、当麻はサッと避ける。 「何避けてんのよ!」 「主の命令よりも使い魔の命の方が大事です。こればっかりはどうしようもありません」 「う、うるさいうるさいうるさい!」 アンリエッタは思わず、ふふふと笑い出した。ルイズはその笑い声にピタッと動きを止める。 その後、一瞬の内にアンリエッタの手前に移動し、膝をついた。 「ももも申し訳ございません! 王女がこの場にいるのにも関わらず!」 「いぇ、二人共本当に仲がよくって」 アンリエッタはにっこりと笑った。しかし、すぐにそれはため息へと変わる。 そういえば、と当麻は思い出す。先ほどから、アンリエッタは時折寂しげな表情を見せた。 それらは王女という役職に不満だったり、結婚させられたり、色々不自由な生活を送られていた様子であった。 当麻はこの世界の事情はよくわからない。しかし、それでも何となくアンリエッタが辛い思いをしているのがわかる。 「ルイズ、あなたに話たい事があるの。誰にも話していけません」 言った後、当麻の方をちらっと見た。 「席、外そうか?」 「いえ、使い魔と主は一心同体。席を外す必要がありません」 そして、少し悲しげな表情のまま、アンリエッタは語り出した。 その次の朝。 当麻は廊下でシエスタとばったり出会った。 「トウマさん?」 「あぁシエスタか、朝早いんだな」 いえ……、と顔を赤くして恥ずかしがっている姿を見て、当麻は疑問符を頭に浮かべる。 「というかいつもこんなに早いのか?」 「え、あ、そんな事ないですよ。ただちょっと目が覚めてしまったからつい……」 本当は言えない。少しでも当麻に喜んでもらおうと、少ない時間を使ってまで料理の勉強をしているのだと。 「えと、トウマさんこそどうしたんですか?」 「ん? 困っている人の手助けの為これから働くのさ」 へ? と思わずシエスタは聞き返してしまった。当麻は若干困りながらも、 「いやまぁ、ようは出かけるのさ」 「え? 出かけるのですか!?」 せっかく新しい料理食べてもらおとしたのに~、と悔やむシエスタ。食べてくれる人がいなければ料理は意味を成さない。 「あぁ、といってもすぐ帰ってくるし心配すんなって」 じゃあな、と手を振ってこの場を去る当麻。 「あ……」 待って、と言おうとした時には、すでに背中を向けられていた。 「遅かったじゃないか」 「あぁ、ちょっと立ち話をな」 ギーシュに質問され、そっけなく当麻は答える。 ルイズはすでに馬に跨いでおりいつでも出発できる態勢にいた。 昨日アンリエッタに頼まれた事は簡潔に言ってしまうととんでもない内容であった。 『アルビオンに赴き、ウェールズ皇太子を捜して手紙を取り戻す』 一見すると、簡単な旅行である。が、実際は見事なまでに正反対の任務であった。 現在アルビオンでは戦争が起きており、貴族派が既に王党派を追い詰めていた。陥没まで時間の問題である。 そんな中、ウェールズ皇太子にアンリエッタは何やら手紙を渡していた。それを敵に見つけられるとトリステインの将来が危ういと言う。 アンリエッタが渡してくれた支給品は水のルビーと一通の手紙。いや、支給品という程でもない。会えたら渡して欲しい手紙とお守り、だ。 当麻も、知らない内に巻き込まれたという形になっていた。といっても、王女から直々に頼み込まれたら断りようがない。 では何故ギーシュがここにいるのかと言うと、ただ単に昨日の話を聞いてしまったからである。 何と言うか、わざわざ危険な任務へよく平気でいくよな……、と当麻は思うのであった。 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主
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前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 行間I 「おいアレイスター!」 世界は変わってここは地球のとある都市。 当麻が少し前まで暮らしていた学園都市、その中の、窓も廊下も扉も階段もない一つのビル。 大能力(レベル四)の空間移動しか出入りする事ができない完璧な密室で一人の少年は声を荒げる。 短い金髪をツンツンに尖らせ、青いサングラスで目線を隠した少年――土御門元春であった。 「ふむ、遂に動いたか。これでプランが相当短縮できるな」 その土御門の話し相手、学園都市統括理事長『人間』アレイスターは、嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑った。 男にも女にも見え、大人にも子供にも見え、聖人にも囚人にも見える。その『人間』は直径四メートル、全長十メートルを越す強化ガラスの中で、赤い液体と共に緑色の手術衣を着ち、逆さに浮かんでいた。 「一人で勝手に納得してないで早く答えろ。上条当麻をどこにやった?」 並の人間であったら今の言葉で全てを吐き出すであろう。それだけ覇気と怒りが込められていた。 上条当麻がいなくなった。それはつい先程の出来事である。 いち早く情報を手に入れた土御門は、アレイスターが何かをしたのだと思い、押し入ったのだ。 「心配ない。こことは別の世界へと飛ばされた」 は? と思わず土御門は口にしてしまった。 アレイスターは普段通り、いつもと変わらぬ口調で告げた事が、余計に土御門を混乱させた。 いつもなら何かの冗談であると思い、そこらへんのチューブを腹いせに抜くのだが…… それがあまりにも自然で、予定通りで悪意も冗談もなくただ真実であるように感じられる。 「なっ……いや、待て。別世界があったとしても、だ。どうやってそこへ行く? 確実に幻想殺しの能力が発動するぞ?」 土御門は別世界の存在の有無については聞かない。今までの経験からそのような質問は意味が成さないのはわかっているからだ。 「ふむ。では逆に君に聞こうか。そもそも、幻想殺しの能力はなんだ?」 「馬鹿にしてるつもりならそのガラスぶち破るぞ」 土御門はいつまでも手品の種がとけない人のように、苛立った口調で返す。例え壊れないとわかっても、その目は本気である。 「それが異能の力であるならば何でも打ち消す幻想殺し。では『異能』とは何をさす?」 アレイスターの一言に、土御門の思考は凍り付いた。 「もちろん魔術や超能力は『異能』とされているが、どうだ。それらは一体誰が決めた?」 「……何が言いたい?」 苦虫を噛み潰したような表情へと変わる。アレイスターの言っている意味が少しだけわかったのだ。 確かに幻想殺しは今まで魔術や超能力を打ち消してきた。だからそれらを一くくりに『異能』扱いした。では今回は? その過程でいくならば、今回の件も十中八九『異能』扱いに間違いない。 しかし、今まで打ち消したのは上条当麻ではない。幻想殺しという名の右手が打ち消してきた。 その右手が打ち消す対象なのかどうかを決めるのだ。つまり、今回の『異能』は打ち消す対象ではないと判断したのか? いや、ありえない。と土御門はアレイスターの意見を即座に否定した。故に聞く。 当麻にとってプラスになる効力ですら打ち消すのだ。そのような事はあってはならない。 「君の気持ちはわかる。しかし、事実起きているのだ。そう、実際に」 アレイスターは淡く、淡く笑った。自分だけしかわからない、しかし絶対に教えようとはしない。 「心配するな、向こうでの時間の流れはこちらより圧倒的早い」 土御門がピクッと震える。今は情報が欲しい。その為ならどんなに小さな事でもこの『人間』から聞くつもりだ。 「……おい。何でお前がそんな事を知っているんだ?」 「あぁ、私は一度あそこへ行っているからな。そこで魔導書を一冊プレゼントしてやったよ」 これまた普段と変わらぬ口調で言われ、土御門は本当に言葉を失った。 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主